朝の筋トレを3ヶ月続けたら、仕事効率と睡眠が改善した話

朝のリビングで日本人男性が腕立て伏せをしている様子で、朝筋トレによる健康や睡眠改善をイメージさせる写真 健康
朝の筋トレ習慣が仕事効率と睡眠の質を向上させる様子

朝筋トレをはじめた理由

正直に言うと、僕が朝筋トレを始めた理由はものすごく単純でした。
「最近ちょっと太ってきたな…」とか、「夜の寝つきが悪いな…」とか、そんな小さな不満が積み重なっていたんです。

でも、決定打はある月曜の朝でした。パソコンを立ち上げてメールを開いた瞬間から、頭が重くて何も集中できない。コーヒーを飲んでもぼんやりして、気づけば午前中がほとんど“ただ座っていただけ”で終わっていたんです。

その日の夜、布団に入っても眠れず、「このままじゃヤバいな」と妙に焦りを感じました。何か変えなきゃと思っていた時に、ふとYouTubeで「朝筋トレの習慣が人生を変える」という動画を見つけたんです。特別に感動したわけでもないのに、なぜか心に刺さって。「まあ、3日くらいやってみるか」と気まぐれで腕立て伏せを始めたのが、すべてのスタートでした。

最初は本当に“なんとなく”。でも、その“なんとなく”が、後から思えば大きな分岐点だったんです。

日本人男性がベッドルームで腕立て伏せに挑戦し、苦しそうな表情を見せながらも朝筋トレに取り組む様子
朝の筋トレは苦しい瞬間も成長の糧になる

1ヶ月目:眠い朝と筋肉痛の壁にぶつかる日々

朝筋トレを始めて最初の1ヶ月は、とにかく「眠気」と「筋肉痛」との戦いでした。
正直、毎朝5分早く起きるだけでも拷問のように感じて、「なんで自分はこんなことを始めてしまったんだろう」と布団の中で何度も後悔しました。アラームを止めて二度寝したい欲求と、せっかく始めたからやめたくない気持ちのせめぎ合い。毎朝が小さな修行のようでした。

最初の1週間は腕立て伏せ10回でも筋肉が悲鳴をあげ、翌日は肩や胸がバキバキに固まって、階段を下りるのさえしんどい。仕事中に電話を取ろうと腕を伸ばすだけで「イタタ…」と顔をしかめることもありました。そんな姿を見て同僚から「筋トレ始めたの?」と笑われた時、ちょっとだけ誇らしい気持ちと、内心「いやいや、まだ全然大したことないんだよな…」という恥ずかしさが入り混じっていました。

それでも続けられたのは、小さな達成感のおかげです。眠い目をこすりながらでも腕立てを終えた瞬間、「今日もサボらずできた」という事実が妙に嬉しい。筋肉痛は辛いけれど、「昨日よりちゃんと筋肉を使えたんだ」と思うと、どこかワクワクした気持ちも芽生えていました。

1ヶ月目は、成果なんてまったく見えない。でも、「やめない自分」を毎日積み重ねている感覚が、少しずつ自信になっていったんです。

日本人男性がベッドルームで集中した表情で腕立て伏せをしており、朝筋トレによる健康習慣を表現した写真
朝の筋トレが心身を引き締め、集中力を養う

2ヶ月目:身体の変化を実感、心まで軽くなる瞬間

朝筋トレを続けて2ヶ月目に入った頃から、ようやく「変化」というものを体感し始めました。
鏡を見ると、うっすら腕のラインが引き締まってきている気がして、シャツを着たときの肩回りが少しだけキュッとする。正直、それまでは「筋肉痛ばっかりで本当に効果あるのかな?」と半信半疑だったので、この小さな変化はすごく嬉しかったです。

身体の軽さも実感できるようになりました。駅の階段を駆け上がっても息切れが減っていたり、朝の通勤電車で立っている時に背筋が自然と伸びていることに気づいたり。「あれ、なんか今日の自分ちょっと違うな」と思える瞬間が増えてきたんです。

公的ガイドラインでも、健康づくりのために有酸素性の身体活動(例:歩行)に加えて筋力トレーニング週2回以上行うことが推奨されています。WHOは「主要な筋群を対象に週2日以上の筋力トレーニング」を、厚生労働省の最新ガイド(2023)も「週2〜3日の筋力トレーニング」を示しています[1][2]。こうした推奨に沿って少しずつ負荷をかけたことが、体感の変化につながったのだと思います。

そして意外だったのは、心まで軽くなっていったこと。
運動は、気分の改善やストレスの軽減、睡眠の質向上などに寄与することが知られています[5]。朝から汗をかいて呼吸が整うせいか、不思議と気持ちがポジティブになる。仕事のメールを開くときのあの憂うつさが少し和らぎ、「よし、今日もいけるかも」と思えるようになりました。小さな達成感が、その日のスタートを押し上げてくれる感覚でした。

振り返ると、2ヶ月目は「続けたご褒美」が体と心に同時に現れた時期でした。最初のしんどさを乗り越えた先に、こんな心地よい変化が待っているなんて思ってもいませんでした。

日本人男性がオフィスでスーツを着てノートパソコンを操作し、笑顔で仕事をしている様子
オフィスで笑顔を見せながら仕事に集中する姿

3ヶ月目:仕事効率が目に見えて改善した理由

3ヶ月目に入ると、いよいよ朝筋トレの本当の効果を実感しました。特に大きかったのは、仕事の効率が目に見えて上がったことです。

以前は午前中の自分がまるで“スロースタート型の古いパソコン”みたいで、頭が起動するまでに時間がかかっていました。でも、筋トレを習慣化してからは、朝の段階で体も頭もスイッチが入っているんです。出社してすぐの会議でも頭がクリアで、意見を求められても自然とパッと答えが出てくる。これは自分でも驚きでした。

集中力も格段に上がりました。特に感じたのは、午前中のメール処理や資料作成のスピード。以前なら途中でSNSを開いたり、コーヒーを飲みに行ったりと無駄に中断していたのに、気づけば一気に片付けられるようになっていました。終わった後に「え、もう午前中でここまで終わったの?」と小さな感動を覚えるほどです。

この実感は、研究知見とも整合します。運動直後のような急性効果でも、注意や思考の切替えなどの実行機能(仕事の段取り・意思決定に関わる認知機能)が小さいながらも向上することがメタ分析で示されています[3]。特にレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)でも、単回のセッション後に注意力と実行機能の指標が改善したという報告があります[4]。さらに、CDC(米国疾病予防管理センター)は「身体活動には、実施直後に起こる脳の働きへのプラス効果(不安感の低下など)がある」こと、継続すれば睡眠や認知機能にも良い影響が及ぶことをまとめています[5]

そして、この効率アップが自信にもつながりました。上司から「最近、仕事早いな(笑)」と声をかけられた時は、内心めちゃくちゃ嬉しかったです。自分の努力がちゃんと形になっていると実感できた瞬間でした。

3ヶ月続けた結果わかったのは、筋トレそのもの以上に「朝から動くことで1日のリズムを作れる」ことが、仕事効率を押し上げていたんだということ。気づけば、朝筋トレは単なる健康習慣ではなく、僕の“仕事の武器”になっていました。

ノースリーブ姿の日本人男性が鏡に映る自分を見ながら笑顔を見せ、朝筋トレ後の達成感を感じている様子
筋トレ後に鏡の前で笑顔を見せる達成感

睡眠の質が劇的に変わった

朝筋トレを続けていて、ある日ふと気づいたんです。「あれ、最近夜のだるさがないな」と。
以前の僕は、夜になると頭がぼんやりして体が重く、布団に入ってもスマホをダラダラ見てしまうのが常でした。気づけば日付が変わっていて、翌朝は寝不足でスタート…。そんな悪循環を繰り返していたんです。

でも、運動を継続すると睡眠の質(入眠潜時の短縮や主観的睡眠の改善など)が向上し得ることが、系統的レビュー/メタ分析で繰り返し示されています[6][7]。僕の場合も、2ヶ月を過ぎたあたりから、仕事を終えて帰宅すると心地よい疲労感が残り、自然と「早く横になりたい」という気持ちになる。布団に入れば、10分も経たずにスッと眠りに落ちてしまう日が増えました。

特に印象に残っているのは、金曜日の夜。以前なら「疲れた〜」と言いながらお酒やジャンクフードに手を伸ばしていたのに、その日はシャワーを浴びて布団に入ったら、気づけば朝まで一度も目覚めずぐっすり眠っていました。翌朝、カーテンの隙間から差し込む光で自然に目が覚めた時のあの爽快感は、今でも忘れられません。「これが本当の“休んだ”って感覚なんだ」と心から思いました。

睡眠の質が改善すると、翌日のパフォーマンスが全然違います。朝から体が軽くて、頭も冴えている。たった数時間の眠りの質が変わるだけで、こんなにも人生がラクになるのかと実感しました。日中の身体活動が睡眠を後押しすることは、CDCの解説にも明記されています[5]

朝筋トレは筋肉を鍛えるだけじゃなく、夜の眠りまで変えてくれる。これは僕にとって、一番意外で一番嬉しい副作用でした。

日本人男性がベッドで横向きに穏やかに眠っており、質の高い睡眠を象徴する写真
穏やかな眠りが翌日の活力と集中力を生む

朝筋トレがもたらした副産物──自信と人間関係

朝筋トレを続けて一番驚いたのは、「自信」と「人間関係」にまで良い影響が出たことでした。
最初は体を鍛えるためだけに始めたのに、気づけば心の持ち方や人との接し方まで変わっていたんです。

例えば、ちょっとした会話の場面。以前の僕はどこか消極的で、雑談でも相手に合わせて聞き役になることが多かったんです。でも筋トレを続けて体が引き締まり、姿勢が良くなると、それだけで「自分は大丈夫」という安心感が湧いてきて、自然と声が大きくなったり、自分の意見を素直に言えるようになったんです。

職場でもそれは顕著で、上司や同僚から「最近なんかガタイ良くなった?(笑)」と言われたとき、内心すごく嬉しかったです。自分が努力していることが外からも伝わっていると実感できた瞬間でした。しかも不思議なことに、自分が前向きでいると周囲との会話も明るくなり、人間関係が以前よりスムーズに回り始めたんです。

さらに、朝筋トレを習慣にしているというだけで、友人や同僚から「それってすごいね」「どうやって続けてるの?」と興味を持たれることも増えました。以前は話題に困るタイプだったのに、今では自分の経験を話すことで会話が広がり、人とのつながりが深まっているのを感じます。

朝筋トレは、単なる運動以上の意味を持っていました。体が変わることで心に自信が芽生え、その自信が人間関係にも影響を与える。まさか筋トレがこんな副産物まで連れてきてくれるとは、本当に予想外でした。

オフィスの会議室で白いマグカップに入ったコーヒーが机に置かれ、背景にスーツ姿の男性たちが会話している様子
コーヒーを片手に交わされるビジネス会話の場面

続けるために工夫したこと──挫折と乗り越え方

正直、続けることが一番むずかしかったです。ここでは、僕が“やめずに済んだ”具体的な工夫と、実際に折れかけた瞬間、それをどう越えたかを正直に書きます。

①「2分だけ」の最低ラインを決める
やる気が0の日は、とにかく“2分だけ”やると決めていました。アラームが鳴ったら枕元の水をひと口→マットへ直行→肩回し30秒→スクワット10回。たった2分でOKにすると、不思議と体が温まってそのまま5〜10分続けられることが多かったです。

② トリガー化:歯みがき→腕立て10回
「歯みがきをしたら腕立て10回」のように、既にある習慣にくっつけました。これは心理学で実行意図(Implementation Intentions)と呼ばれる方法で、「もし(状況)なら(行動)する」という具体的な“if–then”計画を先に決めておくことで行動開始率が高まることがメタ分析で示されています[8]。考える時間をゼロにして、体を自動運転にするイメージです。

③ 環境設計:前夜に“段取り”を完了
前夜にウェアをベッド脇へ、マットは敷きっぱなし、タイマーは“10分固定”。朝の自分は弱いので、意思ではなく段取りで動かしました。

④ 見える化:カレンダーに大きな×印
壁カレンダーにやれた日は×印。連続日数が伸びるのが気持ちよくて、「今日は空白を作りたくない」のが強い動機になりました。行動を同じ文脈・タイミングで繰り返すと習慣は徐々に自動化され、平均するとおよそ66日前後で安定してくるというUCLの研究報告があります(個人差は大きく18〜254日の幅)[10]

⑤ ごほうび設計:コーヒーは筋トレ後だけ
朝のコーヒーを“ごほうび”に変更。終わったら淹れられる、という小さな楽しみが強力でした。

⑥ デロード(軽めの日)を最初から組み込む
デロード=計画的に強度・量・頻度を落として回復を促す手法。定期的に入れると疲労の蓄積を防ぎ、長期の継続に役立ちます[9]。週1回は“ゆる朝セット”。

  • 肩回し30秒×2
  • スクワット15回
  • 膝つき腕立て10回
  • プランク30秒
    「休む勇気」をスケジュールに入れておくと、オーバーワークでやめるのを防げました。

⑦ 例外ルール:「2日連続では休まない」
忙しい日や体調不良で1日飛んでもOK。ただし2日連続はNG。これだけで習慣が崩れにくくなりました。

⑧ 旅行・出張の“非常口メニュー”
ホテルではバスタオルをマット代わりにして、スクワット・ランジ・プランクだけ。器具ゼロで3分。移動中も「ゼロにしない」ことを最優先にしました。

日本人男性が部屋でノートを見ながら顎に手を当て、真剣に計画やアイデアを考えている様子
ノートを見つめて1日の計画を立てる姿

挫折しそうになった瞬間と、実際の乗り越え方

・雨の火曜、二度寝の誘惑に負けかけた朝
アラームを3回スヌーズして、心の中で「今日は無理」と決めかけました。そこで“2分だけルール”。肩回し→スクワット10回で体が目覚め、気づけば合計8分。終わってからの自己肯定感が、その日1日を押し上げてくれました。

・月末の残業明け、腕が上がらないほどの筋肉痛
腕立てをあきらめ、代わりに膝つき腕立て+家のチューブ引きに変更。メニューを柔軟に差し替える“逃げ道”を用意しておくと、0か100の思考に陥らず継続できます。

・出張先でスペースが狭く、やる気がしぼむ
“非常口メニュー”の出番。タオルの上でスクワット20回→プランク30秒→ランジ左右10回を1周。3分で完了。「完璧じゃないけど続いた」という事実がメンタルを守ってくれました。

・寝不足でフラフラ、頭も体も重い朝
この日は思い切ってストレッチ+10分の外歩きに切り替え。無理をしないほうが翌日の回復が早く、結果として長く続きました。

僕の“朝メニュー”サンプル(日替わりローテ)

  • A:全身さくっと(7〜10分)
    肩回し30秒×2 → スクワット15〜20 → 膝つき腕立て10〜15 → ヒップリフト15 → プランク30〜45秒
  • B:上半身寄り(10分)
    腕立て(通常or膝つき)10〜15 → テーブルロウ15(机に手をかけて引く) → ショルダーT/Y各10 → プランク30秒×2
  • C:下半身寄り(10分)
    スクワット20 → ランジ左右10 → カーフレイズ20 → サイドプランク左右30秒

回数は“余裕2回残す”範囲で調整。しんどい日はAだけ2分短縮、元気な日はBかCに。

心が折れそうなときのメモ(実際に机に貼っていたやつ)

  • 「やる気は“結果”で出る。まず2分。」
  • 「完璧より継続。0より1。」
  • 「未来の自分をラクにするのは、今の2分。」

続けるコツは、強い意思ではなく“仕組み”でした。朝の自分に期待しすぎず、前夜の段取りと最低ラインでハードルを下げる。そうやって乗り越えた小さな勝利の積み重ねが、3ヶ月後の大きな変化につながったと実感しています。

黒いTシャツを着た日本人男性が腕を組んで笑顔を見せ、スーツ姿の同僚とオフィスで会話している様子
同僚との会話が仕事の信頼関係を深める瞬間

まとめ──3ヶ月後「やってよかった」という実感

朝筋トレを始めたきっかけは、本当に“なんとなく”でした。でも、3ヶ月続けて振り返ってみると、その“なんとなく”が自分の生活を大きく変えるきっかけになったと強く感じます。

最初の頃は眠気と筋肉痛に苦しみ、「もうやめたい」と思う日も何度もありました。それでも「2分だけでもやろう」と続けてきた積み重ねが、気づけば体の変化となって現れ、心の余裕につながり、仕事や人間関係にまで波及していったんです。

今振り返ると、一番の収穫は“自分をコントロールできる感覚”を得られたことかもしれません。筋トレ自体の効果ももちろん大きいのですが、「続けられた」という自信が、毎日の小さな選択にも前向きさを与えてくれています。

3ヶ月前の自分に伝えたいことはただ一つ。「あの時、よく始めてくれたな。ありがとう。」ということです。これからもきっと波はあるでしょう。でも、この実感がある限り、朝筋トレは僕にとって“やってよかった習慣”として続いていくと思います。

参考文献

  1. World Health Organization. WHO Guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.
  2. 厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』 2023.
  3. Chang YK, et al. The effects of acute exercise on cognitive performance: a meta-analysis. 2012.
  4. Tsuk S, et al. The Acute Effect of Exercise on Executive Function and Attention. 2019.
  5. Centers for Disease Control and Prevention. Benefits of Physical Activity. 2024.
  6. Banno M, et al. Exercise can improve sleep quality: a systematic review and meta-analysis. 2018.
  7. Alnawwar MA, et al. The Effect of Physical Activity on Sleep Quality and Insomnia. 2023.
  8. Gollwitzer PM, Sheeran P. Implementation intentions and goal achievement: a meta-analysis. 2006.
  9. Bell L, et al. Integrating Deloading into Strength and Physique Sports: A Review. 2023.
  10. University College London. How long does it take to form a habit? 2009.