禁酒1週間やってみた体験談!7日間で感じた心と体の変化と効果

夜のバルコニーでマグカップを持ち、街の夜景を見つめる男性と「たった1週間でここまで変わる?禁酒体験のリアル」というテキスト 健康
禁酒1週間での心身の変化を描いたシーン

禁酒を決意した理由

正直に言うと、僕は毎晩のようにお酒を飲んでいました。仕事終わりの一杯が「頑張ったご褒美」になり、缶ビールから焼酎やウイスキーへ――そして寝る直前まで飲むのがルーティンに。

当初は「酒好きなら誰でもやってる」と思っていましたが、ある朝、異様なだるさと頭の重さに襲われ、「これは二日酔い以上では?」と疑い始めました。さらに翌朝「昨日の記憶が曖昧」になる日が増え、いわゆるブラックアウト(飲酒時の一過性の健忘)の可能性に気づいてショックを受けました。そして決定打は、「飲まないと眠れないかも」と思ってしまった瞬間です。「このままではいけない」と感じ、その夜「まずは1週間やめてみよう」と決意しました。

ブラックアウトは誰にでも起こり得る飲酒の有害な結果で、けがなどのリスクも高まると報告されています。[1]

実は寝酒(就寝前の飲酒)は、入眠を早める一方で睡眠の後半を分断し、レム睡眠の乱れなど全体の質を下げます。[2] 日本の公的ガイドでも、良い睡眠のために就寝前の飲酒を控えることが推奨されています。[3]

夜、缶を手に考え込む男性の写真

1日目

禁酒初日。
「どうせ一日くらい、飲まなくても余裕でしょ」と軽く構えていたんです。
でも、日が沈むにつれて、胸の奥がざわざわし始めるのを感じました。仕事も終わり、いつもなら缶ビールをプシュッと開けていた時間。手持ち無沙汰なまま過ぎていく夜の静寂が、やけに長く感じられました。

布団に入っても、全然眠れない。目を閉じても、思考がグルグル回って止まらない。
「今日は疲れてるはずなのに、なんで眠れないんだ…」と自分に問いかけながら、何度も寝返りを打ちました。まるで、体の中で何かがうごめいているような不快感。寝室の時計の秒針の音だけが、やけに大きく聞こえる。気がつけば午前3時。軽く汗もかいていました。

2日目

朝からソワソワ感が抜けません。些細なことにイライラし、メールの文章にすら腹が立ってくる。電車の中の咳払いにも、なぜか過敏に反応してしまう。まるで心にフィルターがかかったように、全てが「うざい」と感じる。

「え、これって…もしかして酒をやめたせい?」

そう気づいた瞬間、なんだか腑に落ちました。
ただの気分のムラじゃなくて、これは身体がアルコールを欲しがってる“離脱症状”だと理解できたことで、少し安心もしました。
逆に言えば、それだけ自分が酒に依存していた証拠でもある。
そう思うと、自分の中にある“弱さ”があぶり出されているようで、怖くもあり、でも向き合わなきゃいけないという覚悟も芽生えてきました。

医学的には、離脱症状(依存性のある物質を中止した際に起こる身体・精神症状)として、不眠・イライラ・発汗・動悸・手の震えなどが現れ得ます。[4] 症状は数時間以内に始まり、数日続くことがあります。[5] まれにけいれんやせん妄(デルリウム・トレメンス)など重症化するケースもあるため、強い依存が疑われる場合は独力での断酒ではなく医療支援を受けることが推奨されます。[6]

夜、ベッドに座って頭を抱える男性の写真

3日目

目覚ましの音で目を覚ました3日目の朝。
布団の中で「あれ?」と思いました。
昨日までは身体が重くて、まぶたも鉛のようだったのに、この日は妙に頭がクリア。眠気の“モヤ”がかかっていないというか、視界がスッと開けるような感覚があったんです。

「…もしかして、酒を抜いた効果?」
そんな期待が頭をよぎりつつ、半信半疑でいつもの仕事に取り掛かりました。
すると驚くことに、午前中のタスク処理がやたらとスムーズ。頭がよく回る。言葉もすんなり出てくる。Slackの返信も、変なひっかかりがなく、テンポよく返せているのが自分でも分かる。

普段なら、10分もすれば手が勝手にスマホを開いてSNSを見始めるところなのに…今日は違いました。
「あ、集中できてる」
その小さな実感が、ちょっと嬉しくて。
たった2日断酒しただけで、こんなに効果を感じるなんて思ってもみなかった自分が、一番驚いていました。

もちろん、まだ油断はできないし、夜になるとまた誘惑は来るかもしれない。
でも、「朝のスッキリ感」と「仕事がはかどる気持ちよさ」という新しい報酬を、ちゃんと身体が記憶し始めている気がしました。

入眠を早める一方で睡眠の後半を乱すのがアルコールの典型的な作用です。飲酒をやめるとレム睡眠の反跳や睡眠構造の回復が徐々に進み、日中の覚醒感が改善していくことがあります。[2][3]

自宅でノートPC作業をする男性の写真

4日目

日中はもうだいぶ安定してきました。
朝の目覚めも悪くないし、仕事中もイライラやそわそわはだいぶ落ち着いてきた感覚があります。体も少し軽くなってきて、集中力もキープできるようになった。

だけど…夜になると話は別。
仕事を終えて一息ついたタイミング。ふと、「あ、今まではここで飲んでたな」と思ってしまうんです。
湯船にゆっくり浸かったあと、冷蔵庫を開ける手が止まる。「あ、もうビールはないんだった」と現実に戻されて、ちょっとだけ気持ちが沈む。

試しにノンアルコールビールを買ってみたものの…
やっぱり何かが違う。喉越しや炭酸の感覚は似ていても、“あの感じ”は来ない。
リラックスでもなく、テンションアップでもなく、ただの炭酸。
「気休めって、こういうことか」と思いながら、静かな部屋で1人グラスを傾ける自分が、ちょっと滑稽に見えました。

禁酒って、「飲まないこと」そのものよりも、
“飲まない夜をどう過ごすか”のほうが難しいのかもしれません。
時間の余白に向き合うこと、思っていた以上にメンタルにくるな…と、改めて気づいた夜でした。

ただ、寝酒で「空白」を埋める癖に気づけたのは収穫でした。公的ガイドでも、良質な睡眠のために就寝前はリラックス時間を作り、酒に頼らないことが勧められています。[3]

ノンアルコールビールを飲む男性の写真

5日目

5日目の朝――
まだ薄暗い外を見ながら、ふと目を開けた自分に気づきました。
「え、目覚まし鳴ってないよな?」と思って時計を見ると、アラームの20分前。しかも、スッと起き上がれて、頭が冴えてる。

これまでの自分なら、朝は“戦い”だったんです。目覚ましをスヌーズして、布団の中で現実逃避。でも今は違う。むしろ「もう少し寝たい」という感覚すらない。
体が軽く、胃のあたりにどんよりした重さもない。

洗面所で顔を洗って鏡を見た瞬間、ちょっとした違和感――いや、“違い”に気づきました。
「…なんか顔色、良くない?」
頬がすこし明るく見えて、肌にうっすらツヤが戻っているような印象。荒れがちだった顎まわりも、少しだけなめらかになっている気がする。

英国NHSは「飲酒量を減らす/やめる」短期のメリットとして、朝のだるさ軽減や肌の見た目の改善、日中のエネルギー向上などを挙げています。[7]

6日目

お腹が空くタイミングが自然になってきて、胃の張りや不快感がなくなっていることにも気づきました。
以前は、夜に酒と一緒に揚げ物や濃い味のつまみを食べて、翌朝は胃もたれがデフォルト。
でも今は、朝ごはんもスッと入ってくるし、日中の消化も軽やか。身体が“ちゃんと機能してる”感覚があります。

まさか、たった5〜6日でここまで変わるとは思っていなかった。
でも確かに、体は少しずつ確実に変化していて、「お酒をやめるって、こういうことなんだ」と、身体の内側から教えられているような気分です。

また、胃腸の軽さも実感。アルコールは胃粘膜を刺激し急性胃炎の原因になり得ますが、飲酒を控えることで負担が減ります。[8]

鏡の前で肌の変化に驚く男性の写真

7日目

ついに禁酒開始から1週間。
正直、ここまで来るとは思っていませんでした。初日の夜の不眠や、2日目のイライラが嘘みたいに、いまの心は静かです。

もちろん、テレビCMでキンキンに冷えたビールが映れば「うわ…美味そう…」と思うし、仕事帰りに居酒屋から漏れてくる笑い声とグラスの音に少し心が揺れる瞬間はあります。
でも不思議と、「飲みたい!」という衝動ではなく、「ああ、前はあんな感じだったな」と遠くから眺めているような気持ち。

かつては、“夜=お酒”が完全にセットだった。
だけど今は違います。
散歩しながら音楽を聴いたり、湯船にゆっくり浸かったあとにストレッチをしてみたり――自分なりの“整える夜”が少しずつ形になってきたんです。

そういう時間を過ごしていると、自然と心が落ち着いてくる。
「飲まないと気が済まない」という感覚は、気づけばかなり薄れていて。
むしろ、“飲まないことで得られる静けさ”のほうが今は心地いい。
これは、酔いのテンションとはまた別の、穏やかな幸福感なのかもしれません。

1週間前の自分では考えられなかった心境。
禁酒はただ我慢するものじゃなく、“自分と再会するための時間”なのかもしれない――そんなことを、少しだけ思えるようになってきました。

短期間でも、睡眠・気分・日中の活力などに良い変化が現れることは各国の公的情報でも示されています。[9]

朝、バルコニーで深呼吸をする男性の写真

禁酒1週間を終えて思うこと

最初の数日は正直つらい。でも、3日目以降は「解放感」が芽生え、朝がラクになり、体が軽く、肌も整ってきました。食事はおいしく、夜の時間は自分のために使える――そんな小さな変化が、確かな喜びに。

そして何より、「自分をコントロールできた」という実感。お酒は健康リスクのある嗜好品で、健康に無害な安全量はないとWHOも明言しています。[10] だからこそ、「飲まなくても大丈夫」と思えたこと自体が大きな一歩でした。

自宅のデスクでコーヒーを手に微笑む男性の写真

「とりあえず1週間」で人生が変わる?禁酒を考えている人へメッセージ

もし今、「禁酒したほうがいいのかな」と迷っているなら、僕からの提案はひとつ。

「とりあえず1週間だけ、やってみる」

最初はつらいかもしれません。でも、その先には「これが本来の自分?」と思えるスッキリした日常が待っていました。夜の「空白」の扱い方を考えるだけで、生活はじんわり変わります。

なお、長期間・多量飲酒を続けていた方、離脱症状が強い方、持病や妊娠中の方は、医療機関に相談して安全に進めることをおすすめします。[6]

参考文献

  1. National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA). Interrupted Memories: Alcohol-Induced Blackouts. https://www.niaaa.nih.gov/publications/brochures-and-fact-sheets/interrupted-memories-alcohol-induced-blackouts
  2. Ebrahim IO, et al. Alcohol and sleep I: effects on normal sleep. Alcohol Clin Exp Res. 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23347102/
  3. 厚生労働省「Good Sleepガイド」(2024). 良質な睡眠のためのポイント(就寝前の飲酒を控える等)。https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001222161.pdf
  4. 厚生労働省「アルコール健康障害対策」:離脱症状の説明。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000176279.html
  5. MedlinePlus (NIH). Alcohol withdrawal (2025). https://medlineplus.gov/ency/article/000764.htm
  6. StatPearls/NCBI Bookshelf. Alcohol Withdrawal Syndrome (2024). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441882/
  7. NHS Live Well. Tips on cutting down alcohol. Immediate benefits(朝のだるさ軽減、肌の見た目の改善、エネルギー向上 など)。https://www.nhs.uk/live-well/alcohol-advice/tips-on-cutting-down-alcohol/
  8. Merck Manual Professional. Overview of Gastritis(アルコールは急性・びらん性胃炎の原因)。https://www.merckmanuals.com/professional/gastrointestinal-disorders/gastritis-and-peptic-ulcer-disease/overview-of-gastritis
  9. NHS Better Health. Drink less alcohol. 短期・長期の健康メリット。https://www.nhs.uk/better-health/drink-less/
  10. World Health Organization (WHO). Alcohol – Fact sheet(アルコールの健康影響、政策対応)(2024). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/alcohol