なぜ1日2食生活を始めたのか?
正直に言うと、1日2食生活を始めた最初のきっかけは「なんとなく体がだるい」という漠然とした不調でした。特に朝がつらくて、目覚ましで起きても頭がボーッとしていて、動き出すのに毎日時間がかかっていたんです。仕事も基本リモートワークなんですが、午前中はとにかく集中できない。それでいて、夜になると変に元気になって寝つきも悪い。このリズムにずっと違和感がありました。
ここでいう自律神経とは、呼吸・心拍・消化などを無意識に調整する神経系(交感神経と副交感神経)を指します。乱れると倦怠感や睡眠の質低下などにつながることがあります。[8]
そんなとき目に入ったのが「1日2食で体調が整う」という見出しでした。具体的には、1日の摂食時間を6〜10時間におさめ、残りを空腹時間にする時間制限食(Time-Restricted Eating, TRE)という方法。私の場合は15時間ほどの空腹時間(朝食を抜く)をつくる形で始めました。TREは、血糖や血圧など代謝指標の改善が報告される一方、効果は個人差があり研究間でも結果が分かれることが知られています。[2][1][5][6] また、体内時計(サーカディアンリズム)と食事時間の整合は代謝に影響する可能性が示されています。[3]
「とりあえず1週間だけでもやってみよう」という軽い気持ちで、朝食を抜いて、昼と夜の1日2食生活をスタートしました。最初は不安もありましたが、何かが変わるかもしれないという“わずかな期待”が、自分を動かしました。

最初の3日間は空腹との戦い
1日2食生活を始めた最初の3日間は、正直、めちゃくちゃキツかったです。朝起きた瞬間からお腹がグゥ〜っと鳴って、「ああ、やっぱり食べたいな…」って気持ちとの戦いでした。普段は何気なく食べてた朝ごはんが、抜くとこんなにも恋しく感じるんだなって痛感しました。
特につらかったのが2日目の午前中。Teams会議中にお腹が鳴りまくって焦りましたし、集中力もどこかぼんやりしてて、資料を読み返すことが何度もあって…思わず「これ続ける意味あるのかな…?」と弱音を吐きそうになりました。
でも、3日目の夜を超えたあたりから、ほんの少しだけ変化を感じたんです。空腹に慣れ、昼にきちんと食べれば大丈夫だと思える余裕が出てきました。
そして4日目の朝。「あれ?なんか体が軽いかも」と感じました。午前中の集中力も高く、タスクがサクサク進む実感がありました。食事時間を早めに寄せる「早時間帯TRE(eTRE)」は代謝リズムに合いやすい可能性が報告されていますが、私の場合も“リズムが整う”感覚がありました。[4][3]

1週間目:体の軽さと朝の頭のスッキリ感
1日2食生活を始めて1週間が経つ頃、明らかに体に「変化が起きてる」と感じました。起床時の重だるさが軽くなり、コーヒーなしでも午前のタスクに入りやすい。TREの臨床研究でも、参加者の主観的な活力・休息感の向上が報告されています(研究や対象により差あり)。[2]
体重は1kgほどしか減っていないのに、食後のもたれや強い眠気が減り、全体的に「軽さ」を感じました。10時間の摂食・14時間の断食という設定でも、体重や血圧、脂質などが改善した報告があります(対象は代謝異常を伴う成人など)。[9][12]

15時間断食で得られた5つのメリットとは?
1日2食生活で自然と生まれる「約15時間の断食時間」。ここでは、実際に30日間続けて感じた“リアルなメリット”を5つにまとめます(私の体験であり、効果には個人差があります)。
① 朝のだるさが減り、起床がスムーズに
食事時間を日中の早い時間帯に寄せると体内時計と整合しやすく、代謝が安定しやすい可能性が示されています。[4][3]
② 頭がクリアになり、午前の集中力が上がる感覚
主観的な活力や休息感の改善は一部のTRE研究レビューでも報告されています。[2]
③ 体が軽く、日常動作がラクに
10時間摂食(14時間断食)などの設定で体重・血圧・脂質の改善が報告された研究があります。[9][12]
④ 食費が自然と減り、お金の余裕が生まれた
単純に食事回数が減ることで、私の場合は出費が目に見えて減りました(体験談)。
⑤ 「食事のありがたみ」を再発見
空腹になる時間があることで、1食1食の満足感が高まり、味わって食べる習慣がつきました(体験談)。
なお、断食の生理学的適応として細胞内のリサイクル機構オートファジー(細胞が自らの構成要素を分解・再利用する仕組み)の活性化が知られています(主に動物・細胞研究の知見で、人での直接的な検証は限定的)。[7][1]

食費の節約と時間の余裕が生まれる
1日2食生活を始めて、予想以上に嬉しかったのが「食費が自然に減ったこと」と「時間のゆとり」ができたことでした。朝の準備・片付けがなくなる分、ストレッチや勉強に充てられるのも良い変化でした。
時間とお金の余裕は、心の余裕にもつながりました。健康面の効果だけでなく、生活の質の向上という意味でも続けやすい習慣だと感じています。

周囲の反応「本当に健康的なの?」
「朝食は一番大事」とよく言われますが、体重管理という観点では、朝食の有無が必ずしも減量に有利とは限らないという系統的レビューがあります。[11] 一方、16:8の時間制限食が体重や代謝に優位な効果を示さなかった無作為化比較試験や、カロリー制限に上乗せしても時間制限のみでは追加効果が乏しいとする報告もあります。[5][6] 逆に、食事時間を早めに寄せるeTREで耐糖能や血圧などの改善が見られた研究もあります。[4] つまり「誰にでも同じ効果」ではなく、生活リズムや食事内容、体質によって合う・合わないがある、というのが実情です。
「筋肉が落ちないか?」という心配についても、16:8の試験では除脂肪量の減少が観察された報告があります。[5] 私は筋トレと十分なタンパク質摂取を続けることで、体感的に問題はありませんでしたが、ここは留意点だと思います。

1日2食生活を30日間続けてわかった「自分に合う食事スタイル」
30日続けてみて痛感したのは、「食事は量だけでなくリズムが大事」ということ。朝に空腹の時間があると1日が整いやすく、昼と夜の2回で必要な栄養を意識的に摂るほうが、私には合っていました。
空腹の時間を設けることで「この時間に、必要なものを摂る」という選択が明確になり、自然と間食やジャンクフードが減りました。研究でも、摂食時間を10時間前後にするTREは現実的に実行しやすく、体重や代謝指標の改善が報告されています(対象によりばらつきあり)。[2][9][12]

1日2食×15時間断食は“無理せず整う”最強の習慣だった
30日間の1日2食生活を終えての結論は、「これは続けたくなる習慣」。15時間の空腹時間によって消化の負担が減り、朝のだるさの軽減や集中力の向上、睡眠の質の改善を私は実感しました。一方で、研究間の結果は混在しており、合う人・合わない人がいる点は事前に理解しておきたいところです。[1][5][6]
持病がある方、妊娠中・授乳中の方、服薬中の方、摂食障害の既往などがある方は、始める前に医療者へ相談してください。[10] 私は今後もこのリズムをベースに、状況に応じて柔軟に3食へ戻す日も作りながら、“頑張りすぎない健康習慣”として続けていこうと思います。
参考文献
- de Cabo R, Mattson MP. Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease. N Engl J Med. 2019;381:2541–2551. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1905136
- Manoogian ENC, Panda S, et al. Time-restricted eating: What we know and where the field is going. Curr Opin Endocr Metab Res. 2023.(総説・PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10111287/
- Guan D, Xiong Y, et al. Interconnections between circadian clocks and metabolism. Signal Transduct Target Ther. 2021.(総説・PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8321578/
- Sutton EF, et al. Early Time-Restricted Feeding Improves Insulin Sensitivity, Blood Pressure, and Oxidative Stress Even without Weight Loss in Men with Prediabetes. Cell Metab. 2018. https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(18)30253-5
- Lowe DA, et al. Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters in Overweight and Obese Adults. JAMA Intern Med. 2020. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2771095
- Liu D, et al. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. N Engl J Med. 2022. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114833
- The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2016 – Press release(大隅良典氏のオートファジー研究). https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2016/press-release/
- MSDマニュアル家庭版「自律神経系の概要」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/…/自律神経系の概要
- Wilkinson MJ, et al. Ten-hour time-restricted eating reduces weight, blood pressure, and atherogenic lipids in patients with metabolic syndrome. Cell Metab. 2019/2020.(PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6953486/
- NIDDK(米国国立糖尿病・消化・腎疾患研究所)“What Can You Tell Your Patients About Intermittent Fasting?”(専門職向け). 2024年5月更新. https://www.niddk.nih.gov/…/patients-intermittent-fasting
- Sievert K, et al. Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of RCTs. BMJ. 2019;364:l42. https://www.bmj.com/content/364/bmj.l42
- Quist JS, et al. Effects of 3 months of 10-h per-day time-restricted eating on cardiometabolic health: randomized trial. The Lancet Healthy Longevity. 2024. https://www.thelancet.com/…/PIIS2666-7568(24)00028-X/fulltext